Q&A

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自分自身に聞き、自分自身に答えるQ&A + メモ(というか、ほぼメモ) 。

2016年東京都知事選の結果についての感想は?

Q.2016年東京都知事選の結果についての感想はどうですか?

 

A.おおかたの予想どおりだったと思います。

 2016年の東京都知事選は、舛添要一前都知事の辞任に伴うもので、主要候補としては、小池百合子氏、増田寛也氏、鳥越俊太郎氏が立候補しました。

 全21人が立候補した今回の都知事選は、劇場型であるとか政策がないとか様々いわれました。私自身としては、東京都民ではないので、特に気にすることはありませんでしたが、小池さんが優れているというよりは、他の候補が不甲斐なかったように感じます。

 有権者ではないので、詳しくは調べてなく、テレビを通じての印象になります。小池百合子氏は、公示前後には日ごとに評価が二転三転していました。

 自民党が桜井俊氏を擁立しようと動いている時には、小池さんは劣勢の印象でした。桜井俊氏が出馬を固辞すると、風は小池さんに吹きました。その後、増田寛也氏を自公と日本のこころが推薦すると、また少し劣勢となりました。

 そして、推薦願いを取り下げ、公約の発表記者会見での「都議会の冒頭解散」というフレーズが出た時も、「都知事にそんな権限はない」と、また劣勢になったように感じます。

 野党は、統一候補として鳥越俊太郎氏を擁立し、選挙戦がスタートしました。

 

 鳥越俊太郎氏に関しては、圧倒的な知名度がありましたが、日ごとに評価を下げていった印象があります。というのも、石田純一氏同様に、都知事選なのに「国政」に対する意見が多かったからです。安全保障や憲法改正など、「あれ?それだったら参院選に出れば良かったのに?」と思うことを話していました。

 さらに週刊文春週刊新潮が報じた女性問題については、「聞く耳を持っている」といいながらも明言を避け、矛盾が出る形となりました。個人的には、話し方がたどたどしかったのも印象が良くなかったです。

 

 増田寛也氏に関しては、岩手県知事時代の評価が悪かったこと、地方活性化について「東京から人を奪う」旨の主張に矛盾があったことなど、人物としての評価は事前には高くありませんでしたが、やはり政権与党である自民・公明がバックアップしたことで、これらは相殺されました。個人的には、告示前に「(小池さんは崖から飛び降りる覚悟と言ったが)私は、スカイツリーから飛び降りる覚悟ですよ」みたいなことを言った時の印象が良くありませんでした。

 増田さんに関しては、本人よりも周りが足を引っ張った印象です。応援に入った議員は「増田ひろや」さんを「増田ひろみ」さん や「増田たくや」さんと名前を間違いまくりました。石原伸晃都連会長も名前を間違って応援していました。

 逆風が吹いたのは、その石原伸晃都連会長名で自民党員宛に送付された文書。増田寛也さん以外を応援したら、それがたとえ親族であろうとも除名処分の対象となるといった内容です。党内の引き締めを図ったと推測ができますが、"親族"という文言を入れたことで一部党員は反発しました。党員に限らず、テレビを見ていた人の印象も悪くなったと思います。

 さらに決定的だったのは、応援演説に立った石原慎太郎氏が「(小池さんは)厚化粧の大年増」と発言したことです。これは完璧な失言となりました。石原慎太郎さんは、歯に衣着せぬ発言が人気の要因だった人物ですが、これは見事な失言です。

 政治家の失言というのは、「タブーや不謹慎ぎりぎりのギャグ」というのが、一定のパターンになっています。石原慎太郎さんは、"応援演説会の聴衆"に向けて、これを話したと思います。

 これが、「応援演説会の中だけ」で済んでいれば問題はなかったんです。ただ、この発言は切り取られてマスコミが放送する結果となりました。こういうのは、もうずっと前からの常識なので、そろそろ政治家のみなさんは発言に気をつけた方が良いと思います。内輪に向けられた発言も、外に出れば、事情を知らない多くの人が見聞きする訳です。そうすると、言葉の本来持っていた性質で判断するので、不謹慎や不適切ぎりぎりの発言というのは、ギリギリアウトになってしまいます。これで、増田さんは、ガッチリと女性票を逃しました。

 

 こうやって見てみると、敵失だったという気もしなくはありません。まず、鳥越俊太郎さんで行こうと決めた野党4党のセンスのなさには、ほとほと苦笑いといった感じです。

 与党も与党で、野党が弱くなり、安倍政権が盤石で、参院選も結果が良かったからといって気を抜きすぎです。安倍政権になってから、ほんと、与党内の人物の慎重さに欠ける言動が目立ちます。これは実に危ういと感じます。

 今の与党は、積極的に選択されたのではなく、消去法で残っているに過ぎません。自民は自民で、支持しがたい部分もあるのです。ただ、いかんせん野党が弱すぎるから際立っているだけです。そこを強みと感じている政治家がいたら、足元をすくわれるでしょう。

 

 こんかいの選挙で、うまく立ちまわったのは、安倍晋三総理周辺でしょうか。舛添さんの件もあり、応援演説には慎重さを見せた安倍さんは、情勢分析などの結果、結局、増田さんの応援に入りませんでした。

 党の方針と違う行動を起こした小池百合子さんについても、党は処分を見合わせました。これは党幹部周辺で、森喜朗 東京オリンピック組織委員会会長を辞任させたい動きがあるからです。小池さんと森喜朗さんは犬猿の仲であり、この点においては、小池さんと幹部周辺での利害が一致しているとのことです。

 

 8月3日には、安倍改造内閣が発足するというスケジュールですが、小池さんが所属していた石破派は、都知事選で一矢報いた結果となりました。一方、石原伸晃さんは、完全にやらかしましたので、都連会長も経済再生相も下りることになるような気がします。