鈴木大介さんの「最貧困女子」を読んだ感想を教えて下さい
Q.鈴木大介さんの「最貧困女子」を読んだ感想を教えて下さい。
A.正直に大変な本でした。
書店にてタイトル買いした本だったのですが、内容が非常に衝撃的でした。「闇金ウシジマくん」をはじめて読んだ時のような衝撃というと分かりにくいかもしれませんが、久々に読み飛ばすことがしづらい本でした。
セックスワーカーとその背景に迫った本といえば、さわりが良いのかもしれませんが、固定観念が次々に破壊されました。貧困を金銭だけで語らず、家族・地域・社会との縁を取材から浮き彫りにさせたこと。家出少女からのセックスワーカーへの転身、その背景に虐待などで子供時代に居場所がなかったということ。知的障害であるが故に搾取されてしまうことなど、現実の残酷さが文章から伝わってきます。
著者の使命感や焦燥感もひしひしと読み取れます。介入をすべきか否か、社会や福祉の制度のずさんさなど。それらがズレたものであることに対する怒りや諦観も感じ取れます。
セックスワーカー個々人の気持ちの問題も、この課題を複雑にしているように思います。セックスワーカーに階級(?)や種別があることを提示し、選ばれない女性の悲惨さや埋没が色濃く映ります。「ひたすらに面倒くさくて可愛くない人を救えるか?」といった旨の問いかけには、青天の霹靂のような揺さぶりがあります。確かに、ある程度の覚悟を決めないと、そうした人たちに目を向けないだろうなと、自分でも思います。
本当に救わなくてはいけない人たちが、分かりやすく存在するわけでもなく、救おうとしても拒絶される可能性というのは、なかなか想像できないものです。こうしたものを著者が直接の取材から浮き彫りにして、提示したことに尊敬の念を持ちます。
ただ解決方法となると全く分かりません。仮に自分が出来ることはなにか?と問われれば、「"余裕がある時に"裏切られることが分かっていても居場所を確保する覚悟」といったことになるかもしれません。
なにかこう、無理解や無知というのも残酷だし、制度を利用しないのも悲惨だし、先入観や固定観念がモノゴトを見えなくするというのも伝わるし、かといって救済が報われるわけでもないらしいから二の足を踏むし、と。悲惨から普通に引き上げることの気持ちの置き所が問われたような気がしました。