2016年参議院議員選挙(第24回通常選挙)山形県選挙区の雑感は?
Q.2016年参議院議員選挙(第24回通常選挙)山形選挙区の感想はどうですか?
A.自民党が不甲斐なかった選挙だと思います。
山形県選挙区は、自民党の新人・月野薫候補と、野党統一候補の舟山康江氏の事実上の一騎打ちでした。
両候補とも、農業の在り方を重点的に述べていたように思います。知名度では元職の舟山康江氏が一歩リードでしたが、序盤を見ていると両候補ともに当落上の差異はなかったように感じます。
むしろ、序盤は月野候補がリードしていると伝えられました。舟山氏は中盤から盛り返し、終盤になると形勢は逆転。投票日の前日から舟山氏が確実であると伝えられるようになりました。
どうしてそうなったのか?私個人の感覚から考えますと、演説や政権放送の質があげられます。舟山氏は特段うまいという訳ではありませんが、序盤から常に危機感を持ち、力強い演説をしていました。
一方の月野候補は、誰かに言わされているような、自分の言葉ではないような内容に終始しており、政見放送においてもカンニングペーパーを丸読みしている様子も伺え、急速に期待感が薄れていきました。個人的なことを申せば、諸派の城取候補の政見放送は3人の中で群を抜いて上手かったのですが、やはり諸派(幸福実現党)ということで、浸透しませんでした。幸福実現党は、政策だけ見ると結構まともです。
そのほかの選挙戦をみますと、月野候補は「頼れる!!仕事人」というキャッチフレーズを序盤に掲げましたが、中盤から「頼むぞ オヤジ!!」にメインキャッチフレーズを変更。さきに申したとおり、演説や政見放送は頼れるような内容でも話し方でもなく、これが全く効果がなかったと思います。
岸宏一氏の引退に伴い、バトンタッチされる役割でしたが、選挙戦当初は、岸宏一氏と自民党山形県連の不仲も伝えられました。のち、和解しましたが、メディア等において岸宏一氏が月野候補を全面的に応援した姿もなく、一部の自民支持層を離す要因にもなりました。
岸宏一氏は、山形県の最上地方出身の代議士で、月野候補も最上地方出身。うまく結託すれば一定層に浸透できたかと思います。最上地方では、「新庄・最上の灯を消すな!」というポスターも掲示されましたが、月野候補がそのことに触れた様子も伝えられず、行動と言動が一致しないちぐはぐな選挙戦を展開しました。
知名度についても、本人が無名だからと中央から著名な代議士が来県しましたが、月野候補のウェブサイトを見ても、「誰が来県した」とか「誰に応援してもらった」ということばかり。7月に入ってからはウェブ戦略を事実上縮小させ、Facebookに絞るなどしていましたが、結論として終始、本人の声が聞こえない選挙戦を展開しました。
私は当初、こうした選挙戦に憤りを覚えました。しかし、中盤になるにつれて、月野候補は自ら進んで立候補したのではなく、「誰もいないからやってくれないか?」的に担がれたのではないか?と推測するまでになりました。そう考えると、なんとなくこのちぐはぐさも納得ができ、月野候補がかわいそうにすら思いました。
本来、消去法ではありますが自民党を支持していましたので、今回の選挙戦は概ねがっかりしました。当落上の候補は農業などに目が向いていて、非農業従事者が興味をなくしてしまうような雰囲気にもなりました(もちろん、女性や若者、高齢者の下りも出ましたが、扱いが小さい印象)。
もう少し、候補者をしっかり選定していたり、選対がきちんとした戦略を立てていれば、自民党候補の当選は固いか接戦まで持ち込めたでしょう。ここまでの敗北というのは、候補者というよりも自民の選対の戦略のまずさがストレートに出たのかなぁと思います。